こんばんは、ゆうきです。
今回はキャロル・S・ドゥエックさんの書かれた【マインドセット「やればできる!」の研究】を紹介します。
マインドセットとは、物事を捉える際の思考の癖、固定観念、思考パターンのことですが、単に考え方と理解していただいて問題ありません。
さて、いきなりですが一つ質問させてください。
朝通勤のために家を出て、最寄り駅に着くなりスマホを忘れていることに気づきました。あなたはどう思いますか?
例えば、「どうしていつもこうなんだ。俺は何をやってもダメな人間」「本当に惨めな人生。生きるのが辛い」「人生は不公平。努力なんて無駄」なんて考えるでしょうか?
「いやいや!たかが忘れ物程度でそこまでネガティブなことを考えるはずないでしょ!」
言いたいことは分かります。でも実は大なり小なりこのように物事を捉えてしまう方が多いのです。
実は僕もそんな人間の一人です。些細な失敗で必要以上に落胆し、文字通り思考停止してしまうことがあります。
著者のドゥエックさんはこのようなマインドセットを「硬直マインドセット」と表現しています。つまり、上手くいかない人のマインドセットです。
対して上手くいく人のマインドセットは「しなやかマインドセット」と表現しています。
しなやかマインドセットの人は、先の質問にはこのように答えるかもしれません。
「たまにはこんなこともあるさ。同じ間違えを繰り返さないためにはどうすればいいだろう?」「家に戻っても時間には余裕がある。気持ちを切り替えよう」「会社には遅刻してしまうが、スケジュールを調整すれば大丈夫」
違いは明らかですよね?
この本は、成功する人、特に継続して成功する人のマインドセットに焦点を当てています。
まずは、「しなやかマインドセット」と「硬直マインドセット」の違いについて少し触れてみましょう。
しなやかマインドセット | 硬直マインドセット |
人の能力は努力で成長させることができる | 人の能力は生まれ持ったもので変わらない |
失敗は自分に責任がある | 失敗は他人に責任がある |
大切なのは成功までの過程 | 大切なのは成功という結果 |
好奇心から学ぶ | 人より優位に立つために学ぶ |
人間関係は良くすることができる | 人間関係はもともとの相性で決まる |
相手に嫌なことをされたら、その人に哀れみを感じる | 相手に嫌なことをされたら、その人に復讐したくなる |
いかがでしょうか。初めの質問で自分は「しなやかマインドセット」だと感じた人も、いくつか「硬直マインドセット」の特徴に当てはまる部分があったのではないでしょうか。
実際、完全に「しなやかマインドセット」の人も、完全に「硬直マインドセット」の人もいないでしょう。誰しもが異なるマインドセットのグラデーションを有し、それは自分が得意とする領域においても異なるはずです。
例えば野球において、努力の結果甲子園出場という成功を得た経験のある方は、野球においては「しなやかマインドセット」で物事を捉えるかもしれません。きっと、頑張って練習すれば上達する、甲子園に行ける可能性もあると考えるのではないでしょうか。しかし音楽や美術など、芸術において同じように考えるでしょうか。さらには同じ野球でも、誰しもがプロ野球選手になれると考えるでしょうか。あるいは例えプロ野球選手でも、誰しもメジャーリーグで活躍できると考えるでしょうか。あるいは例えメジャーリーガーでも、誰しも大谷翔平選手のようになれると考えるでしょうか。
このように、どの視座でどこを眺めるかに応じて、人は「しなやかマインドセット」にも「硬直マインドセット」にもなるのだと思います。
ここで、先の例には一つ落とし穴があったことにお気づきでしょうか。甲子園に行けるか、プロ野球選手になれるかなど、これらはすべてできるかできないか、つまりゼロかイチの結果が価値判断の基準となっています。つまり「硬直マインドセット」です。
この本はとても読みやすく内容も分かりやすいのですが、実践においては実はとても難しいと思います。大切なことは、努力とそれによる成長の結果、成功とそれを継続できる可能性が高まるということ、さらにはそれを実現できる自分を信じるということだと思います。
さて、それではどうすれば「しなやかマインドセット」になれるのでしょうか。
前提として、「しなやかマインドセット」の人は努力で何でもできると思っているわけではないということを理解する必要があります。彼らは「硬直マインドセット」の人に比べて自分の能力を正当に評価する傾向があると報告されているそうです。それは決して、「自分の才能はこの程度」とか、半ば諦めにも似た気持ちで評価するわけではありません。そうではなく、「今の自分の力では及ばない」と正しく自己評価し、結果どうすれば現状とのギャップを埋めることができるかに思考がシフトするのだそうです。
「しなやかマインドセット」の人の根底には、「人は変われる」という信念があります。我々も彼らと同じ信念を打ち立てる必要があります。古い信念の上に新しい信念が築かれ、それが徐々に強くなり、今までとは違った考え方、感じ方、振る舞い方ができるようになるのです。
人は絶えず心の中でモニタリングと解釈を行なっています。その解釈のチェックシートの枠組みを作っているのがマインドセットです。そして時にその解釈が歪み、必要以上に不安や憂鬱を募らせたり、誤った優越感を抱いたりします。
大切なことは変わることを恐れないことです。著者は「しなやかマインドセット」になる方法として、「今日どんなことを学んだか」「何か勉強になるような失敗をしたか」「今日どんな努力をしたか」「それらから何を学んだか」などを大切な人と話すことを勧めています。
ただ、それを毎日行うことが難しい方もいるでしょうか。そのような方には日記を進めたいと思います。僕はロシアの文豪トルストイが好きなのですが、トルストイは日記を自分との対話だと言っていました。ぜひ皆さんも日記を通じてご自分と対話してみてください。
今回の記事が少しでも多くの方のお役に立てれば幸いです。